山参注射(サンサム注射)は、山参や生薬由来成分を含むとされる薬剤を注入し、部分痩せを目指す自由診療です。ただし、「山参注射」という名称だけでは製品名・成分・濃度・入手経路まで特定できません。2026年9月時点で確認できるヒト研究は小規模試験や症例報告が中心で、痩身効果や長期的な安全性が十分に確立した施術とはいえません。
検討する場合は、使用する薬剤が国内承認品か、どの成分をどれだけ注入するのか、期待できる変化の限界、副作用、必要回数、総額を医師に確認してください。「自然由来だから安全」「短期間で必ず痩せる」とは判断しないことが大切です。
山参注射(サンサム注射)とは

山参注射は、「高麗人参注射」などの名称で案内されることもある美容医療です。提供医療機関の説明では、山参(野生または培養された高麗人参)と生薬エキスの複合体を皮下脂肪へ注入し、部分痩せを目指す施術とされています。
ただし、名称が同じでも処方が標準化されているとは限りません。医療機関によって製品、成分、濃度、注入量が異なる可能性があります。施術名だけで安全性や効果を判断せず、診察時に次の情報を確認しましょう。
- 製品名、製造販売元、全成分と濃度
- 日本での承認の有無と、承認されている効能・効果
- 未承認品の場合は入手経路、国内承認品の有無、海外の安全性情報
- 医薬品副作用被害救済制度の対象になるか
PMDAの公開情報を「山参注射」「サンサム注射」で確認した範囲では、その名称の承認医薬品を確認できませんでした。個々の医療機関で使われる薬剤の承認状況は一律に断定できないため、実際の製品情報を医師へ確認してください。
山参注射の効果に関する根拠は限定的

山参複合薬鍼を対象にした研究はありますが、現時点では大規模で質の高い臨床試験が十分にそろっていません。
2016年の系統的レビューに収載された腹部肥満のランダム化比較試験は、解析対象が28人でした。体重、BMI、腹囲では対照群との差が示された一方、体脂肪量や腹部脂肪の指標では有意差が示されていません。また、その試験では有害事象の記載がありませんでした。有害事象の記載がないことは、安全性が証明されたことを意味しません。
2018年には、山参複合薬鍼を5回受けた高齢男性2人の症例報告があります。しかし、2例のみで対照群もないため、一般的な効果や安全性を判断する根拠には限界があります。
脂肪細胞を減らす効果は確立していない
現行の提供ページでは「脂肪を溶かす」「脂肪細胞を減らす」と説明されることがありますが、山参注射について、その仕組みと効果が標準化された製剤を用いた十分なヒト試験で確立しているとは確認できませんでした。
また、施術部位の脂肪が減ったとしても、食事量や活動量などによって体重や体脂肪が再び増える可能性はあります。「リバウンドしない」「太りにくい体質になる」とは言い切れません。
食欲抑制や基礎代謝アップも断定できない
食欲抑制や基礎代謝の向上をうたう医療機関がありますが、一般の利用者に当てはめられる十分な臨床根拠は確認できません。基礎代謝の変化を報告した研究には、2人の症例報告も含まれます。小規模な観察結果と、誰にでも再現する治療効果は分けて考える必要があります。
体重管理の基本は、健康状態を確認したうえでの食事、身体活動、睡眠などです。肥満症に該当する場合は、美容目的の施術だけでなく、医療機関で合併症や治療適応を評価してもらいましょう。
山参注射の副作用・リスク
山参注射は、自然由来成分を含むことを理由に安全と判断できません。注射そのものによる反応に加え、含有成分に対する反応が起こる可能性があります。
現在施術を案内している医療機関は、主なリスクとして次の症状を挙げています。
- 内出血
- 注入部位の発赤、腫れ、痛み
- つっぱり感、熱感、硬結、ひりひり感
このほか、注射では感染やアレルギー反応なども考慮が必要です。配合成分や持病、服用中の薬によって注意点は変わります。妊娠・授乳中、アレルギー歴がある、治療中の病気がある、抗凝固薬などを使用している場合は、自己判断せず医師へ伝えてください。
強い痛み、急速に広がる腫れ、息苦しさ、全身のじんましん、発熱などが出た場合に、どこへ連絡し、どのような診療を受けられるかも施術前に確認しておきましょう。
施術できる部位・必要回数は一律ではない

顔や腹部、腕、太ももなどへの施術を案内する医療機関がありますが、使用できる部位は製剤の成分、注入方法、皮下脂肪の状態によって異なります。顔と身体のすべての部位に同じ薬剤を同じ量で使えるとは限りません。
必要本数や回数、間隔も一律ではありません。提供医療機関の一例では1週間以上の間隔を案内していますが、これはすべての製剤・患者に共通する基準ではありません。効果判定の時期と中止基準を含め、医師の説明を受けてください。
山参注射が向く人・向かない人

検討の余地がある人
限定的な根拠と不確実性を理解し、特定部位への注入治療を希望する人は、医師の診察後に選択肢として検討できます。ただし、期待する変化が得られる保証はありません。生活習慣の改善や、ほかの治療との違いも比較して判断してください。
慎重な判断が必要な人
- 短期間で大幅な減量を期待している人
- 「自然由来なら副作用がない」と考えている人
- 使用する製品名や成分の説明を受けていない人
- 持病、アレルギー、服薬がある人
- 妊娠中・授乳中、または妊娠の可能性がある人
禁忌は製剤ごとに異なります。上の項目だけで施術可否を決めず、担当医に健康状態を正確に伝えてください。
費用は本数・部位・回数を含む総額で確認する
山参注射は自由診療で、価格は医療機関ごとに異なります。2026年9月29日時点で、湘南美容クリニックは1本2.5ccを17,500円(税込)と案内しています。実際の総額は、施術部位、必要本数、回数、診察料、麻酔代、処方薬、再診料などで変わります。
広告の1本価格だけで比較せず、希望部位に必要な本数と想定回数、追加費用、途中で中止した場合の扱いまで書面で確認しましょう。価格は変更されるため、予約前に公式情報を再確認してください。
クリニック選びで確認したいこと
- 医師が診察し、施術の適応を判断しているか
- 製品名、全成分、濃度、承認状況、入手経路の説明があるか
- 期待できる変化だけでなく、効果が出ない可能性も説明されるか
- 副作用、禁忌、代替治療、緊急時対応の説明があるか
- 必要本数・回数を含む総額が明示されるか
- 当日の契約や追加施術を強く迫られないか
厚生労働省は、美容医療では効果とリスクの双方について説明を受け、ほかの選択肢も比較したうえで判断するよう注意喚起しています。急いで契約せず、疑問が残る場合は施術を見送り、別の医師へ相談することも選択肢です。
山参注射に関するよくある質問
山参注射の効果は証明されていますか?
小規模な比較試験や症例報告はありますが、効果の大きさ、持続期間、長期安全性を判断できる十分な根拠は確認できません。医療機関の広告だけでなく、実際に使う製剤の情報と根拠を確認してください。
自然由来なら安全ですか?
自然由来であることは安全性の保証になりません。注射部位の痛み・腫れ・内出血・感染に加え、配合成分によるアレルギーや全身反応が起こる可能性があります。
一度受ければリバウンドしませんか?
リバウンドしないとはいえません。体重や体脂肪は食事、活動量、睡眠、基礎疾患などの影響を受けます。山参注射だけで太りにくい体質へ変わるという十分な根拠は確認できません。
山参注射と一般的な脂肪溶解注射は同じですか?
同じとは限りません。「脂肪溶解注射」は複数の製剤・成分を含む総称として使われます。名称だけで比較せず、製品名、有効成分、承認状況、作用、リスクを確認してください。
まとめ
山参注射は、部分痩せを目的に提供されている自由診療ですが、2026年9月時点で確認できる臨床根拠は限定的です。現行情報だけから、高い痩身効果、安全性、食欲抑制、基礎代謝向上、リバウンド予防を断定することはできません。
検討する場合は、使用製剤の承認状況・成分・入手経路、期待できる変化の限界、副作用、禁忌、必要回数、総額を医師から説明してもらいましょう。説明が不十分な場合や、その場で契約を迫られた場合は、いったん持ち帰って判断してください。